1 ひき逃げ・当て逃げとは
ひき逃げとは、自動車やバイクを運転中に事故を起こし、人に怪我を負わせたり死亡させてしまった際に、自動車やバイクを停止させ、被害者を救護したり、道路における危険を防止する等必要な措置を講じずに、事故現場から離れる行為を指します。
当て逃げとは、自動車やバイクを運転中に、物損事故などの人身事故以外の事故を起こしてしまった際に、道路における危険を防止や警察への報告をせずに、事故現場を離れる行為を指します。
2 ひき逃げ・当て逃げで問われる罪
①ひき逃げについて
ひき逃げは、道路交通法上の「救護義務違反」となります。同法の法定刑は、10年以下の 懲役または100万円以下の罰金と規定されています。
なお、ひき逃げの場合には、自動車・バイクによる事故で被害者を怪我・死亡させた事実も存在するため、過失運転致死(致傷)罪に問われることになりますが(過失運転致死(致傷)罪についてはこちらをお読み下さい)、その場合には、過失運転致死(致傷)罪と救護義務違反の2つの罪が成立します。これらは、「併合罪」として処理され、重い罪について定めた刑の長期にその半分を加えたものが懲役刑の長期刑となります。つまり、15年以下の懲役刑を下すことが可能となります。
②当て逃げについて
当て逃げは、道路交通法上の違法行為に該当します。道路における危険を防止しなかった場合に問われる罪の法定刑は1年以下の懲役または10万円以下の罰金と規定されています。警察への報告を怠った場合に問われる罪の法定刑は、3ヶ月以下の懲役または5万円以下の罰金と規定されています。
3 弁護活動
ひき逃げは事故現場から逃走しているため、証拠を隠滅したり逃走したりする危険があると判断されてしまうことから、逮捕・勾留される場合が一般的です。
また、交通事故に対する近年の厳罰化の傾向があるため、ひき逃げは原則起訴されて、正式裁判となります。
ただし、被害者の怪我の程度が軽微で、被害者と示談が成立し、被害者の許しを得ている場合には、不起訴処分(起訴猶予)になる可能性も若干ながら残されています。そのため、早期の段階で弁護士に依頼して、被害者と示談交渉を行う必要が高いです。
仮に起訴されてしまっても、罪を認めており、身元を引き受けてくれる人(家族など)がいる場合には、起訴後早期の段階で保釈を請求し、身柄の釈放に向けた活動を行います。
裁判になった場合には、被害者との示談の他、二度と同様の事故を起こさないように反省・謝罪の気持ちを示すことや、場合によっては運転しなくても生活できるような環境調整を行うことにより、執行猶予付きの判決に向けた弁護活動を行います。
4 当事務所の解決事例
執行猶予中に、あて逃げをしたが公判請求を回避できた事例 |
公判請求(裁判)を回避した事例 |
江畑 博之
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