家族や友人が逮捕されてしまったら、まずは冷静に状況を把握することが何よりも大切です。
しかし、既にやり取りされている方はそう感じられていることと思いますが、家族や友人が警察とやり取りしても、なかなか要領を得ません。
むしろ、警察の対応に逆に不安を感じる、ということになりがちです。
そのような場合は、弁護士に依頼して、面会してもらうことをお勧めします。
個別のケースは当事務所までお問合せいただければと思いますが、およそ、逮捕されてからの流れは次のようになりますので、参考にして下さい。
1.逮捕
ご家族や友人が逮捕された場合、それが正当な逮捕であったかどうかが、まず問題です。
当然ですが、警察が、どのような場合に逮捕できるかは、法律で決められています。
また、警察官が被疑者を逮捕した場合、逮捕から48時間以内に被疑者を釈放するか、被疑者を検察官に送致しなければなりません。
そして、その検察官は、警察から送致されてから24時間以内、かつ、逮捕時から72時間以内に勾留請求をしない限り、被疑者を釈放しなければなりません。
この点、検察官に送致する前の段階では、上記のとおり時間的制約があることもあり、逮捕された方と面会できるのは弁護士のみとなっていることも少なくありません。
また、送致前の段階では、国選弁護人は選任できず、私選弁護人しか弁護人になれません。
逮捕直後の段階で弁護人を選任することができれば、弁護士が面会を行った上で、警察・検察での取り調べや調書作成に対するアドバイスを行ったり、勾留請求阻止に向けた検察官に対する働きかけなどの弁護活動を受けることが可能になります。
2.勾留
検察官が、捜査にもっと時間が必要と判断した場合、10日間の勾留を裁判所に請求します。
裁判所が勾留を認めると、勾留を認めた日から数えて10日間は、身柄を拘束されます。
勾留はさらに10日間延長することができますので、一度逮捕されてしまうと、合計20日間の勾留となることが多いと言えます。
勾留された本人は連日、捜査機関による取り調べを受けます。しかし、捜査機関と個人が渡り合うのは難しい場合が多く、自分自身の言い分を正確に伝えるためには、法律の専門家である弁護士からのアドバイスが必要です。また、事件の真相に合った処分を求めるためにも、経験のある弁護士による適切な弁護活動が必要になります。
また、外界の情報が全く入らなくなることから、大変な不安を感じます。こういった被疑者に情報を与え、安心させてあげることも、弁護士として重要な活動だと思います。
3.起訴または不起訴
事件を起訴するかどうかは、検察官が裁判で立証できるだけの明白な証拠があるかどうかによって決めます。また、検察官が起訴したからといって、必ずしも有罪という訳ではありません。
しかし、日本では、起訴に対しての有罪率が非常に高く、起訴した以上は有罪に持ち込みたい、という検察の意識が冤罪に繋がっているのではないか、ということが社会問題になっています。
逆に検察官が明白な証拠がないと判断した場合は、不起訴処分となります。犯罪自体が軽微だったり、悪質でない場合は、有罪が立証できる場合でも、不起訴になることがあります。
弁護士としては、まずは、不起訴となるための活動が重要と考えます。
4.起訴後の処分
起訴には、略式請求と公判請求の2種類があります。
略式請求は罰金処分が下される手続であり、処分と同時に釈放されます。
公判請求は正式裁判が行われる手続きで、裁判所が裁判を経て有罪・無罪を決定します。逮捕・勾留された方が公判請求された場合には、保釈が認められない限り、判決が下されるまで勾留が続くことになります。
判決で執行猶予が認められた場合には釈放されますが、実刑判決の場合はそのまま身体の拘束が続くことになります。
5.判決後
判決内容に不服がある場合には、控訴手続きを行うことになります。控訴の期限は、判決が下された日の翌日から数えて14日以内と定められています。
判決内容が実刑判決であった場合には、保釈が認められない限り、控訴した裁判所の判決が下されるまで、身体の拘束が続くことになります。
江畑 博之
最新記事 by 江畑 博之 (全て見る)
- 【解決事例 当て逃げ】過失運転致傷・救護義務違反容疑(あて逃げ)で検挙されたが、不 起訴になった事案 - 2024年9月30日
- 【解決事例 窃盗事件】 - 2024年9月26日
- 【解決事例 窃盗事件】 - 2024年8月8日