警察庁より、あおり運転の厳罰化を盛り込んだ改正道路交通法の摘発状況が公表されました(改正道路交通法の内容はこちら)。
改正道路交通法が施行された令和2年6月30日から同年12月31日までの間で、同法のあおり運転容疑で検挙された件数は、28都道府県で58件でした。この内、9割超の54件でドライブレコーダーの映像が残されており、あおり運転の検挙において、ドライブレコーダーの存在が大きいことが分かりました。警察庁は、ドライブレコーダーはあおり運転等の悪質な運転行為の抑止に有効であることから、運転者に設置を呼び掛ける通達を出しています。
検挙されたあおり運転の内訳は以下のとおりです。
車間距離不保持 | 13件 |
急ブレーキ禁止違反 | 11件 |
安全運転義務違反(幅寄せや蛇行) | 10件 |
急な車線変更 | 9件 |
高速道路での急停車 | 5件 |
左車線からの追い越し | 4件 |
執拗なクラクション | 3件 |
逆走 | 2件 |
高速道での低速走行 | 1件 |
この内、逮捕まで至ったケースは9件で、残りの49件は書類送検でした。
検挙された者の年代別は、40代が最も多くて18名、次に30代と50代がともに13名、以降20代(6名)、60代(5名)、10代(1名)、70代(1名)と続きます。
都道府県別では、大阪府が6件、埼玉県と岡山県がそれぞれ6件、北海道が4件と続きます。
また、58件の内、2件が自転車によるあおり運転での摘発でした。
摘発された58件の内、「著しい交通の危険」を生じさせたとして検挙されたのは17件でした。「高速道路での駐停車」で検挙された5件は全て「著しい交通の危険」を生じさせたとして摘発されています。これは、高速道路上では、事故が生じて怪我を生じさせなかったとしても、大事故につながるおそれがあることが理由だと考えられます。
改正道路交通法が施行される前は、おあり運転の明確な定義が法律上なかったため、道路交通法における車間距離の保持義務違反や刑法の暴行罪などを適用して、取り締まりを行ってきました。
2019年の下半期で警察が道路交通法の車間距離不保持で摘発した件数は、約8200件でしたが、2020年の下半期は約6500件と1600件超減少しています。
また、自動車運転処罰法の危険運転致死傷罪(妨害目的)の件数も2019年の18件から2020年は12件に減少しています。
これらの数字からは、おあり運転の厳罰化による抑止効果が一定程度出ていると思われます。
江畑 博之
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