1 詐欺とは
詐欺とは、被害者をだます行為→被害者がその行為によって錯誤(事実と認識が一致しない状態)に陥る→被害者が財産を処分する行為を行う→財物または財産上の利益が移転という一連の流れにより成立する罪です。
上述した行為や結果の間にはそれぞれ因果関係がなければ詐欺罪は成立しません。
例えば、洋服店において、店員に「試着させて欲しい」と言い、試着後に着ていた服を着たまま逃げた場合には、店員の財産を処分する行為がないため、詐欺罪は成立せず、窃盗罪が成立します。
金銭などの財物はもちろんですが、財物ではない財産上の利益が移転された場合も詐欺罪が成立します。具体的には、借金を免除させたり、本来金銭が発生する労務を提供させた場合(タクシー料金など)などです。
詐欺の具体例としては、近年社会問題化しているオレオレ詐欺や振り込め詐欺の他、無銭飲食やタクシーの乗り逃げ、キセル乗車、他人のクレジットカードを無断で使用すること等、多岐に渡ります。
2 詐欺で問われる罪
詐欺罪の刑罰は、10年以下の懲役と規定されています。罰金刑がないため、起訴された場合には、正式裁判となります。
なお、振り込め詐欺など組織的に行われた詐欺については、刑法ではなく、組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律に規定されている組織的詐欺罪により処罰されることになります。組織的詐欺罪の法定刑は1年以上20年以下の懲役と規定されていますが、複数の詐欺を行っている場合には、更に刑が重くなります。
3 弁護活動
詐欺罪は、被害者の財産的な損害を守るために制定された罪です。
ですので、刑事処分を決めるにあたっては、被害者に生じた財産的損害を賠償したかどうかが重要となります。
詐欺は、初犯であったり、被害金額が小さい場合などであれば、逮捕されずに捜査が進むこともあります。逮捕されていない場合、ご自身で被害者へ損害を賠償することは可能ですが、被害者の被害感情から直接の交渉が難しい場合や、損害賠償と同時に示談をする場合には、弁護士に依頼した方がスムーズに進むでしょう。
詐欺の前科がある場合や初犯であっても、被害金額が多額であったり、組織的に行われた詐欺などの場合は逮捕される可能性が高いです。詐欺で逮捕された場合には、ご自身で被害弁償をすることができないため,被害弁償を行うために弁護士を選任する必要が高いです。選任された弁護士が早期に被害者に対する謝罪を行い、損害賠償を行うことが可能になります。早期に損害賠償を行うことが、早期の釈放につながります。
初犯であったり、被害金額が少ない詐欺事件で示談が完了している場合には、不起訴処分になることも十分見込めます。しかし、前科がある場合、被害金額が大きい場合、組織的な詐欺行為を行った場合などは、正式裁判になる可能性が高いです。
正式裁判になった場合には、反省・謝罪の気持ちを示すと共に、示談が成立している場合にはそのことを主張します。また、詐欺を行った背景として本人の生活環境が大きく影響している場合には生活環境の改善を行った上、本人を監督する家族などの存在を主張し、執行猶予付き判決の獲得を目指します。
正式裁判が初めてであれば、執行猶予付きの判決になる可能性もありますが、前科がある場合(特に詐欺の前科)、被害金額が多額で示談ができない場合、組織的な詐欺の場合には、実刑判決になる可能性が高いです。このような場合であっても、できる限り軽い処分となるように、依頼者にとって有利な事情・情状を主張します。
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江畑 博之
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